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自意識過剰な生活

「私が楽しくて充実した人生」を送るための毎日

「スペードの3」朝井リョウ

「何者」が映画化されて話題になっているので、朝井リョウつながりでこの本を読んでみた。

ちなみに「何者」も読んだことある。いい塩梅に自分の嫌な部分をすくい取られる感じの小説。湊かなえとはまた違ったいやーな感じにさせられるお話。

「何者」朝井リョウ - 自意識過剰な生活

 

スペードの3

スペードの3

 

 

本作も同じく、安定したいやーな感じになった。3章からなる小説は、それぞれ主人公が異なる。1章「スペードの3」は、すべてを自分の思い通りに動かしたい・優越感に浸りたい学級委員タイプの女性、2章「ハートの2」は小学校の頃に無視されていた不美人の女性、そして3章「ダイヤのエース」では宝塚(がモデルと思われる)退団後舞台に活動の場を移した女性の話。

この中で一番えぐられたのは1章かな。あと3章も分かる。2章は一番私の人生からは遠いストーリーだったかもしれない。いじめられたことはないし、みんなが口を揃えて美人だと褒められる顔ではないけれど、不美人だとも言われたことないからな。

 

1章はね、私はそこまで言語化できていなかったから読んでもぴんとこなかったけど、小学校の頃の境遇が似ているかもと思った。勉強ができてスポーツができて発育も良くてピアノもひけて字も綺麗で男子からの人気もあって自然と学級委員に選ばれる、そんな絵に書いた優等生だった私。両親も教師だったので、空気を読んで優等生を演じていた感はある。そんなんだから同級生の親たちからの信頼されていた、と思う。

注目されることは好きだった。何するにしてもみんなから伺われることが多かったように思う。でもこの主人公みたいに、すべてを自分が動かしているみたいには思ったことないと思うけどな。

よく小説では、クラスで無視されている不美人の同級生に優しく声をかけて自分のグループに入れてあげて圧倒的な優越感を味わう、みたいな描写があるけど、私はそれはできなかったな。好きじゃない子が近くに居るのが嫌で、でも学級委員とかやっているとそういうどのグループからもあぶれた子のおもり役に先生から指名されることが多くて、まあ露骨に嫌だったよね。。小学生なんてそんなもんだと思う。どう見えるとかこれがどう有利に働くか考えるよりも、より感情に素直だと思うけどな。そう考えると、ここまで戦略的に動けるのってすごいよね。早熟だわ。

1章の主人公は、この優越感を社会人になってまで味わおうとしているからまずい。ファンクラブっていう狭い世界のトップになり、厳しいルールで大人の女性たちを統制して、すべて自分の思う通りに動かそうと考えている。これはヤバい。しかも30歳前くらいかな。読んでいる中でどうしても40代とか50代に見えて仕方なかった。古い考え?なのかその思考についていけなかった。きっと見た目も良くはないだろうなあ。

 

3章は、同じ年に入学したタイプの違う同期を妬みながら生活を送る舞台女優。これはちょっと分かるなー。みんなから注目される子って、ほとんどの人は天然だと思っているけど、やっぱりわざとそう見えるように振る舞っていることってよくある。不幸な過去があったり問題児だったり劣等生だったり、そういったエピソードがあった方がみんな喜ぶのを知っている。成功したり注目されている人には、周りの方がその裏のドラマを期待してしまう。うまく乗りこなしてスターになる人には、その期待を理解して期待に応えることができる人だと思う。分かってて演じているってこと。

同期も先生もみんな騙されているけど、3章の主人公だけはこの同期のことを特別扱いせずに同じように対応していたし、そして周りの誰よりも憧れて嫉妬していた。

 

こういうのあるわー。うらやましい・嫉妬しちゃうくらい好きな人にはつい冷たい態度をとってしまうし、批判的なことを言ってしまうことも。私も嫉妬は強いんだよなー。それゆえ辛いことも度々。

 

まとまってないけど、こんな感じで嫌な気持ちになりつつもやめられない本でした。