「蜜蜂と遠雷」恩田陸
これは今年一番のお気に入りかも。他に何があったのか忘れてしまったけれども、すんごく良かった。
最初は”分厚っ”って思ったけれど、読み始めたらどんどん進んでいき、あとこれだけ…と毎回思うくらい終わるのが惜しかった。
ピアノコンクールに出場するコンテスタントのお話。
ちょうど最近ピアノを始めて、その音色に涙が溢れたこともあり、この音楽をテーマにした小説はタイミングも相まって感動しっぱなしだった。
音楽を文章で表現するのってすごく難しいと思う。ましてはクラシックの曲なんて有名な曲だって音楽の授業やCMなどで使われている一部分しか知らなかったりする。
案の定、作中で紹介されている曲はひとつも分からなかった。あとから検索して聞いてみたら、知ってる!と思った曲もいくつか。。
なのに不思議なことにコンテスタントたちが弾いている曲の情景が思い浮かんで感動しちゃったんだよな。ほんとすごいなあと思う。
メインの登場人物は主に4人。
実力も外見も完璧でスター性も兼ね備えた未来の音楽界の王子様・マサル(なんとか。長い英語名)。
天才少女を呼ばれソリストになるまで有名だったが、母の死後、コンサートをドタキャンして表舞台から去った栄伝亜夜。
世界を旅する養蜂家の息子で、今は亡き音楽界の巨匠に唯一師事した風間塵。
音楽家になることを諦め、サラリーマンとして働いているが、夢を諦めきれずに再度チャレンジする高島明石。
みんなそれぞれのストーリーを持っていてすごく良かった。
この4人が関わることで、コンクールの間にそれぞれがどんどん成長していく様にも感動したし、なんかちょっと微妙な男女関係もあって楽しかった。ドロドロのやつじゃなくて高校生みたいなかわいらしい感じなのがまた良い。笑
しかしクラシックのコンクールってすごく熾烈な競争なんだね。
一次予選は100人とか?で3日とか5日くらいかけて開催。二次、三次、本選とそれぞれ半分くらいずつ振るいにかけられて、順位がつけられる。
一次は20分、二次は40分とか、、すごいね。そんな長時間弾く体力と気力を想像すると、ピアニストってものすごいアスリート。
一次で調子が良かったけれど、二次で散々、、なんてこともあるし、ライブで聞いてるときは感動したのに後日CDで聞いたら一本調子、、とか。
タイプの違う弾き方をする人に優劣をつけるのは難しいし、そもそも音楽は競争するものではないような気もするが、、コンテスタントとしても箔がつくから一生懸命なのだろう。
音楽をテーマにした小説、他にも探して見ようかな。
夢見心地にさせてくれる文章っていいなー。気持ちいいな。楽しかった。