自意識過剰な生活

「私が楽しくて充実した人生」を送るための毎日

「伊藤君A to E」柚木麻子 伊藤君の芯のあるクズっぷりに嫉妬

うわー、また柚木麻子だった。

映画化のCMを観ておもしろそうだなーと思っていたんだけど、原作は柚木さんだった。重いんだけど、ドロドロなんだけど、この人の作品はなぜだか気になってしまう。。

 

伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

伊藤くんA to E (幻冬舎文庫)

 

 

柚木作品の中で読んだ事があるもの。

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覚えているもので4つ。BUTTERが最近読んだものではあるものの、俄然インパクトが大きかったのはナイルパーチ。

これは怖かったなあ。。もう一回読むのはちょっとお断りしたくらい。

 

柚木作品は、女性ならではのドロドロ、、と思っていたけれどそれだけじゃなかった。女性間の友情を描いているのが多いように思うけど、今回の伊藤君で思ったのは、女性だけじゃなく男女ともに心の奥底にある本音のドロドロしたところを書くのがうまい。うまくて抉られる。なんか苦しいし、嫌ーな感じする。

好きだし憧れている人なんだけれども、同時にものすごく嫉妬していて相手の失敗を願っていたりすることってある。

相手のためを思っての行動に見えるけど、本当はダメになるように促していたりすることも、、ある。

 

そういうのがわかりやすーく描かれていて、なんだか嫌な感じするのよね。でも気になっちゃうんだけど。

私も同じように思うことが多くて、安心するのかもしれない。

作品になるくらいなんだから、多くの人が同じようなこと考えているんだ、とか、こんな風に考える人に比べたら私はまだマシだわ、とか。笑

漫画とかドラマみたいに、純粋にただ好き、だなんて思えないよ。

 

 

映画版の主人公が岡田将生っていうのがまたよさそう。

イケメンさわやか好青年なんだけど、なんとなく痛男がハマりそう。前に痛い役やってた印象かな、ちょっと裏がある感じがするのがいい。

 

 

しかし、小説の最後に伊藤君が発狂するところ、すごかったなあ。

女性同士で騒いでるSATCが嫌いとか、絶対に土俵に上がらないから勝ち続けるとか、このまま助走期間を過ごして行くとか、、クズはクズなりに芯が必要なんだな。

私はクズにもなれない中途半端だなあ。というかザ・平凡だなあ。