自意識過剰な生活

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「自分を好きになる方法」本谷有希子 自分のことを書かれているようでムズムズした

好きな番組のひとつに「セブンルール」がある。

毎回女性に密着して、仕事や生活に関する7つのルールを紹介していく番組で、”柔らかめな情熱大陸”といったイメージ。

スタジオには4人のタレントがいるのだが、このうちの一人が本谷有希子さん。

芥川賞をとった「異類婚姻譚」以来、読むのは2作目。

 

自分を好きになる方法 (講談社文庫) 

自分を好きになる方法 本谷有希子


タイトルから一瞬自己啓発本のようにも思えるが、純然たる小説。

主人公がリンデという名前だったので、外国の話かと思ったら、ただ珍しい名前という設定だった。

後半に、シューベルトのリンデンバウム(ぼだいじゅ)から命名されたことが分かるが、名前だけで最初はかなり読みにくかったように思う。

すごい影響力。

 

リンデが16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳とそれぞれの年代の時の物語が書かれている。

生きるのが辛そうな人だなあという印象を受けた。

 

しかし、友人に関しては、どうも激しく同感する部分があったのでコピってみる。

 

16歳、リンデがそれまで一緒にいた友達にあてた手紙

"まだ出会っていないだけで、もっといい誰かがいるはず。ほんとうに、お互い心から一緒にいたいと思える相手が、必ずいるはず。私たちは、その相手をあきらめずに探すべきだと思う"

こういう気持ちは私も学生の頃、抱えていた。

学生の頃は世界が狭いから、違和感を感じても物理的に離れることができなかったのを覚えている。

大人になってからも狭いコミュニティでは感じること多し。

 

47歳、クリスマスパーティーの片付けで友達と少し揉めたとき

この歳になれば、好きも嫌いもない。いつか必ず、本物の親友があらわれると信じていたこともあるけれど、そんなのは、とうに諦めていた。魅力的な友達なんてあらわれない。今、目の前にいるこのしょぼくれた人たちがリンデの、まぎれもない友達たった。そして、彼らもきっと同じことを思っているに違いなかった。

 16歳の頃にあると信じていた本物の親友という存在が、どこにもないことを知った47歳。

 

クリスマスパーティーはもしかすると、今年でもう終わりかもしれない。毎年必ず、そう思うのだ。だから来年も再来年もきっと開かれるだろう。仲間たちと過ごす時間。他人との大切な時間。

 そう、イベントの度にちょっとずつ嫌なことが重なって、次はもう参加しないと思う。

思うのだけれども、翌年になるとまた企画したり参加したりして、つながり続ける。

 

 

こう思う人は少ないのかな。

私も同じようにめんどくさいことをネチネチ考えてしまうのだが、根っから楽しんでいるように見える子もいて、うらやましいと思っている。

そういう影のない人と付き合うのは楽しいし、人が集まってくるのでみんな好きなんだろうな。

 

 

しかしリンデはなぜ全然合わないあの男と結婚したのだろうか。

結局離婚したようだが、結婚するという判断をしたことが不思議なくらい合わなそうだったのに。

 

 

本谷有希子さんの「異類婚姻譚」を読んだのは数年前だったけれど、正直最後はよく分からなかった。

でも最近、”異類婚姻譚”という言葉が元々あってその意味を知り、ラストの出来事がなるほど、と思った。

本谷さんが作った言葉だと思っていたくらい、よく分からず読んでいたので。。

 

以前は読んで怖いと感じたのだが、今読んだら少し違った見方ができるかもしれないな。

でも「自分を好きになる方法」を読んで思ったけど、怖いと思ったのは間違いないと思う。

本谷さん独特の感性の部分な気がした。

 

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