自意識過剰な生活

「私が楽しくて充実した人生」を送るための毎日

「紙の月」を読んだらとても怖くなった話

 

ひさびさの出張。PCは持っているものの移動中など時間を持て余すことがあるので、出張の際にはたいてい空港や駅の本屋で文庫本を買っていきます。

今回は予告や宣伝でとても気になっていたこちら。

 

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紙の月。宮沢りえさん好きです。

予告でおもしろそうと思う映画はたくさんありますが、映画館に行く習慣もDVDを借りる習慣もない私は、結局何も見ないで終わります。だから今回小説を手に取って良かった。

 

読み進めていく間、怖くて怖くて次のページに移るのが憚れる感じでした。どんな展開になるのか気になってはやる気持ちと相反する気持ちを両方持ったのは初めてです。

想像よりもゆっくりと梨花の不正は進んでいきます。少しずつ少しずつ”これぐらい大丈夫”の範囲が広がっていき、最初は1mmだけオーバーしたつもりだったのに、気づくとその幅は10mに。そうなったらもう止まらない。そして止まらないために、新たな不正をはたらいてバレそうな不正を補填していく。なんていうんでしたっけ、こういうの。消費者金融からお金を借りている人って最後はこうなっていきますよね。

この最初に不正をはたらいたきっかけ。全然珍しいことじゃないです。このレベルの”これぐらい大丈夫”は、誰しも頭をよぎったことがあるし、実行した人もいるはず。

 

もし私が銀行に勤めていたら。もし私が25歳で結婚して夫婦仲がうまくいっていなかったら。もし子どもができなかったら。もし私に大学生の彼氏がいたら。もし。もし。。もし。。。頭の中では自分のことにすぐ置き換えられます。

 

今の生活でも”これぐらい大丈夫”は無数に存在していて、私はすぐに梨花になることができる、と思ってしまったのです。怖い怖い怖い。自分が怖い。

買い物だって今はそんなに好きではないけれど、一時期はストレス発散のために毎月数万円の洋服やバックを買っていました。買うとスッキリします。仕事の嫌なことも忘れることができます。ただ抑えることができたのは、理性がはたらいたからですかね。その時期に自分の給料以外に多額のお金に触れる機会があったらとか、もっと物欲が強かったらとか考えると自信ないですね。何か小さなきっかけがあったら私の顔がテレビや紙面を騒がせていた可能性もなきにしもあらず。

 

途中から梨花の奥に自分のもうひとつの未来を見ていたからか、最後まで梨花が捕まらないといいなとドキドキしていました。だから日本国内で捕まらなくて良かったです。タイでの最後は私には微妙に分かりにくかったのですが、梨花が自分からどこかに連れ出してほしいと懇願するラストだったので、この後少しでも良い未来が待っているといいなと願わずにはいられません。

 

よくわからない感想になってしまいました。書評って言えるレベルではないですが、読書感想文を書くのも難しいです。映画予告だと同僚にバレるのかな。少し小説とは違ったラストになりそうです。最後まで梨花は、本当の自分が誰なのか見失っていました。小説の構成も梨花と関わった人たちが事件をきっかけに梨花を思い出す形で描かれています。「白ゆき姫殺人事件」みたいな形です。あそこまで悪意に満ちあふれていませんけど。思い出す人によって梨花が違うのですが、きっとそんなもんなんでしょうね。本当の自分なんていないのかもしれません。

 

しかし小説は、自分が知らない世界を、さも自分が体験しているように思わせてくれる最高の娯楽ですね。ハマるほど目の前にリアルな世界が広がります。ハマりすぎると数日間、その世界観を引きずってしまうのは私の癖です。しばらくなりきり梨花になりそうです。。

最近全然本を読めていなかったので反省しました。