自意識過剰な生活

「私が楽しくて充実した人生」を送るための毎日

「ユートピア」湊かなえ

図書館で約半年待ち。すっかり忘れていた頃に回ってきたよ。文庫本が平積みにされているのを見かけて何度買おうと思ったことか。でも実際買おうとは思わなかったんだけどね…。湊かなえの作品は好き。

 

ユートピア

ユートピア

 

 

今年のはじめにテレビで湊かなえがインタビューしているのを見て、”今年はニアミスの女王、復活します”って言ってたなーと思って。

その時、ニアミスって言われていることを知ったのだけれど、たしかにぴったり。これまで「告白」とか「花の鎖」とかいくつか読んだけど、相変わらずいやーな感じがした。すごく重い感じ。ストーリーは終わったとしても、心に残る重い感じ。気持ちよくはないけれど、これを期待して読んじゃうんだよね。

 

この本でも相変わらず、あるある、わかるわかる、よくいるよねーこういう人、みたいなことがてんこ盛りで、いろいろと自分のブラックな面が出ちゃったな。

田舎町に住む3人の女性がメインのストーリーなんだけど、なんだか自分もいつかこんなことになりそうでちょっと怖い。子どもひとりを持つ主婦がふたりだけど、私もこんな主婦になっちゃうのかなーとか、結婚するとこんな旦那になるのかなーとか。子どもはふたりとも良い子だったけど、そんな大人たちをしっかりと見ていて気づかないのは本人たちばかりといった感じ。

最後に健吾くんは、偶然子どもたちのいたずらのせいで過去の悪事がバレちゃったけど、気づかれなければそのままそこで暮らしていたのかもしれないな。本当に金を奪い返すつもりだったのかもしれないけど、本当はどうしたかったのか分からない。

それよりも子どもの秘密の手紙で、大人たちのことをしっかりと見て分かった上で演じていたことが一番の恐怖だなと思って。

 

田舎特有の生きづらさはある。人間関係も面倒なことばかり。引っ越ししたりなんだりで、そのコミュニティを出て行くことができても完全にリセットはできないし、また同じ事が起こる。みんな秘密を抱えて生きているんだ。

 

全然スッキリするストーリーじゃないんだけど、また読みたくなるんだよな。湊かなえファン。