「月の影 影の海」小野不由美 いまさらだけど1巻から読み始めた
”18年ぶりの新作、そして完結へ”って広告を見て興味を持ち、その新刊ではなく、1巻から読み始めることにした。
人気作品だったと思うし、18年前なら私も10代だったからまさにターゲット層だったはずだけど、全く聞いたことがなかった。
当時はラノベに限らず、全然本を読んでなかったからね。
いやあ、もったいないことしたな。
大々的に広告を見て知ったから、その後Amazonで注文したんだけど、まさかの入荷待ち状態。みんな考えることは同じ。。
しかも「月の影 影の海」は上下巻あるけれど、上巻のみ半月くらい待ってねって書いてあったような。結局1週間くらいで届いたけど。
一応、読んだことないしおもしろいかどうか分からないから、図書館やメルカリもチェックしたけれど、在庫なしだった。
みんなで同じ行動してるよー思わず笑ってしまった。
読んだ感想
これは、”辛いおもしろい”!
相当ひどいレベルの『辛い』からぐんぐんとスピードを上げて『おもしろい』に変化していく感じ。
その高低差が半端ない。
というか「月の影 影の海」では主人公の陽子の物語がやっとここから始まるってところなのよね。
特にびっくりしたのが上巻。
これは本当にひどい。。
上巻をかけて、陽子に襲い掛かる理不尽な試練・困難・障害の多さよ!
エヴァンゲリオンのシンジ君もびっくり!笑
シンジ君も初回は相当可哀そうだったけど、それを超えるひどさがある。
だってね、、
・女子高生の陽子の前に、いきなりコスプレしてる男性が現れる
・何の説明もなしに異世界に連れてこられたものの、そのコスプレ男性がいなくなる
・その土地の人に助けを求めるが、異世界人は捕えて処刑される決まりらしい
・追ってから逃げるが、その後会う人もみな陽子を騙して裏切ろうとする
・さらに妖魔にも毎日襲われる
・元の世界の幻を見るが、両親も家族も自分に対する不満を口にしている…
これ上巻の出来事で、本当に陽子の救いになるものがないのよ。
心身ともに限界で、帰る場所もなくて。
上巻は辛くてなかなか読むスピードが上がらなかった。
でも下巻になり、やっと陽子の味方になる人が現れる。
ここからはおもしくなってきて一気読みした。
だから読むなら上下巻で読まないと、なんだこりゃ作品になるので注意。
人を信じるのか信じないのか、裏切られたから相手を恨むのか、みたいなことを考えてほしいのかなと思ったり。
楽俊が本当にいい奴で良かった。救われたよありがとう。
作品として
今後も陽子が主人公で、王としての成長物語になるかと思いきや、シリーズ事に主人公が変わってく形なのね。
これは引き続き順番に読んでいこうと思う。
タイトルの通り、十二の国があるわけで、主人公が替わればいくらでもストーリーが生まれる仕組み。
これいいなあ。壮大な物語が作れるなあ。
壮大になる代わり、その世界の常識とかルールを決めておかないとごっちゃになるよね。
十二国に共通するこの世界のルールとして、神がいて聖獣である麒麟がいて、麒麟に選ばれた王は人間ではなくなって国を治め、さらに妖魔がいて、人間も妖魔も動物も草花も生まれるときは木に生って。
いやすごい。分からないからおもしろい。
この独特のルールが主人公の陽子と同じスピードで知っていくからおもしろいっていうのもあるのかも。
あ、飛ばしたけどエピソード0的な?「魔性の子」はいつ読もう。
ホラー作品というか怖いらしく最初に読まない方がいいというファンのコメント見たため月の影から読んでみたのよね。
おもしろさは分かったからもう読んでも大丈夫かな。
そういえば異世界転生ものってもうずいぶん昔からあるんだなって気づいた。
最近ラノベ作品もよく読むので、流行りかと思いきや定番ってことか。
たしかにこれまでの常識が一切通用しない世界で一から始めるって、主人公には困難続きでおもしろいよね。
過去の名作を読むといつも思うけど、同じ作品でも自分がどのタイミングで読むかでずいぶんと印象は変わると思う。
これをもし10代の時に読んでいたら何か変わってたかなーと思ってみたり。
案外メッセージは理解できず、ただのファンタジー作品として読んでた可能性もあるけど。