自意識過剰な生活

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「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成 おもしろくて一気読み

最近ミステリーを読みはじめまして、今年話題になっていたこの本を読んでみた。

 

六人の嘘つきな大学生

 

 

就活生を描いた作品だと、朝井リョウさんの「何者」がまず思い浮かぶな。

「何者」では主要な登場人物はみんな就活生だけど希望する企業はバラバラ。

ただお互いの進捗は気になるわけで、一緒に就活がんばろー!と言いつつ、それぞれ腹に一物抱えるヒリヒリする長期的な心理戦な感じ(だったような)。

 

こちらはある企業の最終選考まで残った6人。

最後のグループディスカッションでは内容次第で全員内定もあり得ると言われていたのに、直前で方針転換。

6人のうち内定者1人を選ぶというやり方に。

そこで「犯人」は全員の過去の悪事を調べて当日暴露するという最悪な方法を取る。

 

「何者」よりもこの作品の方が事件性が高かった。

どんな人にも良い面と悪い面がある。

ひとつの発言をとっても何でもないようにも思えもするし、逆に何かを含んだようにも思える。

それによってその人への印象が大きく変わってしまう。

物語が展開する中で、全員の印象がどんどん変わっていったなあ。

二転三転どころじゃないくらい。

「お前も見たいようにしか見てないし、思い込みや勘違いばかりだろう?」って作者に言われている感じがした。。

分かっちゃいるけど、相手の本音とかどういう人かなんて分からないのよね。

 

でも最後は全員の汚点と言われる部分にその理由が用意されていて、本当の悪人はいないという風に取れたな。

ちょっと意外というか、そういう意味では読後感は悪くない。

一人亡くなる人がいるけれど就活での事件が問題ではないし、今さら犯人をどうこうしようという話でもない。

叙述トリック風に最後の方まで隠してあったこともあって、それに気づいたらいろいろ勘違いしていたことがさらに分かる。

めちゃくちゃに複雑なお話だよねこれ。

よく考えられるよなーこういうお話。

 

いろいろ思うところはあるけれど、特に感じたのはたしかに企業の採用、特に新卒採用なんて意味ないのよね。

数回会っただけの人事が大学生の何を判断できるんだって感じだし、人事といっても異動で順繰りにそのポジションにいる人なんだから、人を見る目なんてあるわけない。

と、お互い分かった上で面接しているのに、やっぱりお祈りメールがくると自分が否定された気がして落ち込むのよね。

懐かしいな、就活。

あんまり記憶がないけど、なぜか内定取れたのよね。

雰囲気で取れた、と思っている。

 

大学時代にもっと勉強しておけばよかったなーと心から思う。

だから今勉強しているわけだけど、どうせなら二十歳前後のときに学びたかったなあ。

 

 

ちょっと話がずれたけど、おもしろかったせいか読みやすい文章のおかげかあっという間に読み切った。

ミステリーはどうしても途中で止めることができない。

おもしろくない本なら一日置けるけど、そこで読むのやめちゃうことの方が多いからな。

本を一気読みするにも数時間かかるし、体力いるなあ。笑

あと内容が刺さると夢に出てくる、、辛い。

 

本屋大賞にノミネートされているので、最近またあちこちで見かける。

ここ数年の大賞をとる作品の雰囲気とは違うけど、人気がありそう。

 

 

調べたら2016年に読んでいた「何者」。

こちらも就活生の物語で、より人間の嫌な部分やドロドロの部分が見れる作品。

就活ってやっぱり大きなイベントよね。

そりゃ事件くらい起きるわ。