自意識過剰な生活

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「嫌いなら呼ぶなよ」綿矢りさ 大好きな作品に出会った

久々にこれはキープしたい!と思った作品に出会ったぞー。

すでに2回、3回と読んでいて、手元に置いておきたい作品です。

基本的に紙の本はしばらくしたら売るなり譲るなり処分するんだけど(置く場所がないので)、再読したいと思う本だけ持っていていいというマイルールがありまして。

 

嫌いなら呼ぶなよ | 綿矢りさ |本 | 通販 | Amazon

 

 

これは純文学なんだろうな、分類すると。

内容で分けるのは難しいけど、4編中3編はすばると文藝っていう文芸誌に掲載された短編で、もうひとつは書き下ろしだって。

 

この毒々しいドット柄は、1章目の「眼帯のミニーマウス」をイメージしてるのかな。

なかなか手に取りにくい装丁ではあったんだけど、気になってつい買ってしまった。

 

特に強く記憶に残っているのは、まずは本のタイトルにもなってる「嫌いなら呼ぶなよ」。

なんのことかと思ったら、不倫している夫がホームパーティに呼び出されて、妻の友人夫婦総勢で断罪されるっていう地獄絵図なお話。

しかも事前に探偵雇って不倫現場をいくつも抑えて、離婚協議に関する契約書まで作って臨んでいるのよ。

怖いのはそれらを主導しているのが妻の友人ってところ。。

こわいーこの話に出てくる人、みんな怖い。

何度も不倫を繰り返すが離婚したくない夫、なぜか友人に全部話して他夫婦まで巻き込んで裁判を開いてもらう妻、他人の家庭の事情に首をつっこむどころか場を仕切る友人夫婦、、みーんなやばい。

 

あとは「神田タ」も好きだなー。

YouTuberにリアコしてしまった女性のお話。

彼のことを思ってどんどん過激なコメントを書き込んでいき、ついには実際に会ったときに、、みたいな。

ここまで暴走したことはないけれど、こうなる危機感を感じたことはあるな。

有名人よりYouTuberって身近だし、コメントを見ているからこそ反応をもらえるのが嬉しいのよね。

それが癖になってあえて苦言を呈して目立とうとしてみたり、少し違う方向に行こうとすると間違っているでしょとクレーム入れてみたり、、

近いだけに自分の影響力が見えるからこの罠にハマる人はけっこういそう。

こわいこわいー。

 

ただこの本は全体を通して、めちゃくちゃ怖いことを描いているのに、どこかポップで笑えるってところ。

まさにこの毒々しい装丁のようなポップさがあるのよね。

純文学って最後は主人公が鬱になったり闇落ちしたり光のない方向を見せてくることが多いけど(←勝手な偏見w)、これはちゃんと主人公が最後の一線を踏みとどまったり、やっちゃうけどなぜか笑える結末だったりで、読んでいてこっちが闇落ちすることがなかった。笑

引きずりこまれるの嫌なのよーくらっちゃうのよー重い話は。

 

綿矢さん、すごいな。

他の作品も読んでみたいと思った。

初期の作品は読んだことあるけど、もう覚えてないから再読だな。